古くからある集合住宅形式の一つである長屋は、壁を隔てて住居が連なって建っています。いわば、隣家とくっついているようなイメージです。近年は「タウンハウス」や「テラスハウス」などと呼ばれることもあり、スタイリッシュな長屋も増えてきました。ちなみに、マンションなどは「共同住宅」になり、長屋とは異なります。長屋と似ている造りに町屋があり、商人の店舗兼在宅のことを指すので商家とも言われます。町屋(商家)も長屋も、通りに面して並んで建てられている点は同じですが、町屋の方は一軒ずつ独立した家屋となっています。長屋を解体する際は建物ごと解体するか、解体したい住戸だけ部分解体(長屋切り離し解体)するかのいずれかになります。解体目的はさまざまですが、老朽化や立ち退き、借地返却などがよくあるケースのようです。長屋の解体費用は、解体方法や物件環境によって大きく異なります。また、切り離し解体の場合は、残る側(解体しない側)の家屋の内壁が解体後は外壁になるため、壁の修復工事も必要になります。こういった料金も長屋の解体費用の明細に含まれています。
長屋解体費用について

長屋の解体方法について
長屋の解体工事は、丸ごと解体するのか、一部分のみを切り離すのかによって解体方法や費用が異なります。ここでは解体の仕方によってどのような作業が発生するのか、また追加費用はどのような場合に発生するのかについてご紹介いたします。
一棟解体
長屋全体を取り壊す場合は、通常の家屋解体と同じ手順で進めていきます。3軒以上の住居が連なる大きな長屋ですと解体作業や廃棄物の量が増える分、費用が上がります。また、長屋が平屋か二階建てかによっても費用は異なり、物件によっては基礎や屋根の解体が増える分、平屋の方が高くなることもあります。とくに、老朽化が進んでいる平屋の長屋は、倒壊の危険性が高いものも多く、安全性を確保するために作業負担が増え、費用が割高になるかもしれません。また、屋根材にスレートが使われている場合はアスベストが含まれている可能性がありますので、アスベスト調査費用や、(含まれている場合は)除去費用が発生します。そのほか、敷地内の塀や門・庭・庭木・車庫など、外構の解体・撤去があればその分費用に上乗せとなります。なお、老朽化した長屋の解体には「老朽建築物の除却助成」といった補助金制度を設置している自治体も多いので、利用できれば長屋の解体費用を抑えることが可能です。また、長屋を賃貸物件として貸し出しをしている場合は、事前に入居者に立ち退き依頼の連絡をし、解体工事前に入居者にほかの物件へ移ってもらう必要があります。立ち退きの通知は、契約期間満了の6カ月前から1年前までに行わなければなりません。解体が決定したら余裕をもって行うようにしましょう。
切り離し解体
切り離し解体は、長屋の一部分のみを解体する工事のことで、家屋全体を壊す工事に比べ、かなりの技術を要します。解体工事は、建物を壊す際にどうしても大きな音や揺れが発生してしまうのですが、長屋の場合は隣接する住戸に騒音・振動などの影響が極力少なくなるよう常に注意を払いながら施工しなければなりません。また、狭小地に建つ長屋の切り離しでは、重機やトラックを置けるスペースがなかったり、作業負担が増えたりするので、費用が割高になることもあります。解体時には、まず隣と共有している構造材(梁・桁)を切り離す作業から取り掛かります。隣人宅が傾く原因をつくらないためにも手壊しで慎重な作業が求められます。また、切り離した後は、隣家の内壁だった部分が外壁となりますので補修工事が必要となります。施主側の責任範囲は、「現状と同程度に補修する」ということになりますので、どの程度の補修をするのか、素材は何にするのかなどは、事前に隣人の方と確認して決定しておきます。なお、端の一戸を切り離すのか、三戸以上連なるうちの真ん中の住居を切り離すのかによっても補修工事の費用は代わってきます。真ん中の住戸を取り壊す場合は、外壁補修費用が両隣分かかりますし、雨水や防音・粉塵飛散の養生も同じように両隣分となるため、費用が高くなります。
長屋解体費用相場と内訳
解体費用は、とても多くの要素が組み合わさっているため、「見積書を見てもよく分からない」ということがあるかもしれません。ここでは長屋の解体費用に含まれる項目について詳しくご紹介いたします。見積書を確認する際の参考にしてみてください。
延べ床面積、平米(㎡)数、坪当たりの長屋解体費用
長屋の解体費用は、「延床面積x坪単価」で推計することができます。ちなみに、延床面積とは建物各階の床の合計値です。当社の坪単価は、木造32,000円~、軽量鉄骨造35,000円~、鉄骨造(S造)38,000円~、鉄筋コンクリート造(RC造)40,000円~となっております。解体工事は、物件の坪数が大きければ大きいほど費用が上がりますが、重機やトラックの搬入ができない狭小地に建つ長屋の解体は、手作業が増える分作業効率が下がるため費用が高くなるケースもあります。長屋の切り離し解体の場合は、建物の一部分のみを取り壊す特殊な工事技術を要する分、通常の坪単価よりも割高になるケースが多いでしょう。同じ建坪であっても構造・基礎・敷地内のスペース・周辺環境によって価格は変動しますので、きちんと現地調査をした上で見積りを出してもらうようにしましょう。
長屋の解体費用に含まれる項目
解体工事に含まれる費用は、大きく分けると(1)建物を取り壊すための作業量と、(2)それ以外の付帯業務量によって決まります。(1)には、建物と基礎の解体費用にくわえ、解体で生じる廃棄物の運搬~処分費用が含まれます。長屋を切り離す作業では、共有する柱などを不用意に傷つけてしまうことがないように重機を使用せず手作業で行いますので、その分費用が追加されます。また、解体で発生する廃棄物は、木くず・木材・トタン(金属くず)・コンクリートブロック・ガレキ(コンクリートガラやアスファルトの破片など)・窯業系サイディング・混合廃棄物・ 非飛散性アスベスト廃棄物など項目によって単価が変わります。その中でも、リサイクル不可の窯業系サイディング、ほかの廃棄物が混合しているガレキ、石綿スレート板のような非飛散性アスベスト廃棄物は、処分費が高いため単価も高く設定されています。また、屋内に残った家財道具(残置物)の回収も有料で承っておりますが、余計な費用がかからないよう、リサイクルショップやフリマアプリなどを活用して、事前に処分しておくことをおすすめします。(2)は、建物以外の解体・撤去作業費用です。具体的には、カーポート・庭木・庭石・物置・倉庫・土蔵・フェンス・擁壁・コンクリートブロック塀などが挙げられます。解体・撤去の分だけ費用に上乗せされますので、庭木や物置など処分可能なものは、着工前にできるだけ処分しておくと良いでしょう。
仮設工事・諸経費に含まれる項目
「仮設工事」とは、解体作業前に行う養生や足場を建てる作業のことで、粉塵や騒音を最小限にするために防音シートなどを使用して建物を囲います。近隣住民の方にご迷惑とならないためにも大切な作業です。長屋の切り離しの場合、側面はお隣とつながっていますので正面にのみ足場を組んでいきます。また、切り離した後は、隣家の内壁が剥き出しとなってしまうので、壁の補強作業が終わるまで雨養生はかかせません。養生作業は、シートの使用料によって金額が異なり、建物が大きいほど費用も高くなります。「諸経費」に含まれる項目は、重機回送費・官公庁への届出などの手続き費用・アスベスト含有調査費用があります。
構造ごとの長屋解体費用(比較)
解体工事では、建物の構造によっておおよその費用が分かります。また、必要となる重機や工法、廃材の処分費用なども、構造ごとにある程度決まってきますので、ここでは各構造の長屋解体工事で発生し得る作業についてご説明します。なお、長屋は一般的な一戸建て住宅よりも解体の難易度が高くなりますので、通常よりも割高になることはあらかじめ想定しておくとよいでしょう。
木造の長屋解体費用
一般的な戸建てでは、木造家屋の解体費用が最も安くなります。長屋の場合も同様で、ほかの構造よりも安く解体することが可能です(ただし、立地条件によって例外もあります)。さまざまな構造の中でも、比較的切り離して解体しやすいのが木造長屋です。瓦や梁などつながっている箇所については手壊しで丁寧に壊していきます。手壊しの場合は、作業負担が大きくなる分解体作業費が割高になりますが、メリットもあります。たとえば、廃棄物を木くず(梁・柱)、鉄くず(トタン)、ガラスくずなど、種類ごとに分別しながら解体をすることができるので、リサイクル率が上がり処分費用をいくらか抑えることができます。
鉄骨造の長屋解体費用
鉄骨造の長屋は、木造と比較すると解体の難易度が格段に上がりますので、比例して費用も高くなるケースがほとんどです。木造は、構造的に取り除いても影響のない柱や梁もあるので、切り離し解体が可能な建物も多いのですが、鉄骨造の場合は、建設時に強度を補うために入れた筋交いなどを後から抜くのは難しく、切り離すこと自体が不可能という物件もあるかもしれません。建物を設計する際には、全体が地震に対して耐えられるように計算されて建てられていますので、分離することで耐震バランスが崩れ、傾くことも懸念されます。鉄骨造長屋の切り離しをご検討の場合は、解体が可能かどうかを一度診てもらうと良いでしょう。また、実際に解体を行う際にも、建物の耐震診断や耐震補強が必要となる可能性も高くなります。鉄骨造の家屋では通常重機を使用して壊していきますが、長屋の切り離しの場合、敷地が狭く隣家とくっついているため、切り離す部分などは重機を使わず手壊しで解体します。手壊しは、重機解体より人件費や作業時間がかかる分、費用も割高になります。
鉄筋コンクリート造(RC造)の長屋解体費用
鉄筋コンクリート造長屋の切り離しは、インターネットなどで調べてみても施工事例はほとんどないようですが、建物の構造上問題がなければ施工可能です。鉄筋コンクリート造(RC造)は、とても頑丈で壊しにくいため重機を使用したいところですが、隣と繋がっている長屋の切り離しの場合は、振動・騒音が極力発生しないよう重機の使用は最小限にしなければなりません。多くの時間と労力がかかる鉄筋コンクリート造長屋の解体は、人件費など作業員にかかる費用も一戸建てと比べるとかなり割高になります。なお、物件によってはアスベスト(石綿)除去費用や付帯工事費用も発生します。
長屋解体でよくあるトラブル・失敗談
複数の建物が連なっている長屋の切り離し解体は、一戸建ての解体よりも気をつけなければいけないことが多々あります。ここでは長屋の解体でよく発生するトラブルや失敗談についてご紹介します。長屋の切り離し解体をご検討の方は、以下の点に気をつけて進めていただければと思います。
他の区分所有者の許可が得られない
連結している長屋を切り離して壊す際には、区分所有法に基づいて、隣人および所有者4分の3以上の同意を得なければなりません。とくに隣人の方は、解体作業による騒音・振動にくわえ、切り離すことで家の耐震性が低下してしまうことがご不安だと思いますので、施工方法や工期、切り離し後の補修方法などをきちんと説明して理解してもらうことが重要です。また、長屋の中に空き家があり、その所有者が遠方の場合は、直接の交渉が難しいため、時間がかかることをあらかじめ理解しておきましょう。普段やりとりや挨拶もせずに交渉や工事説明の場面でいきなり話を持ちかけるのではなく、日ごろから友好的なご近所づきあいができているかどうかも円満に進めるための大切なポイントになります。
分離・補強のための補修が不十分
長屋の切り離しは、元々一つだった建物の一部を解体する工事です。切り離した建物はいくらか強度が低くなりますので補強工事は欠かせません。また、切り離した後は、隣家の内壁が外壁の役割となりますので、外壁の補修方法については、隣人の方と事前に細かく確認しておきましょう。外壁補修の素材にはいくつか種類があり、それぞれの素材にメリットとデメリットがあります。施主側の責任範囲は、あくまでも現状と同程度に補修するということになりますので、隣家が高価な素材を希望している場合など、責任範囲を超えるような要望がある際は、差額分は隣家が負担することになります。「話し合いでトラブルになってしまい、切り離し解体を断念せざるを得なかった」というのも長屋の取り壊しでよくある失敗談のようです。こじれてしまうと解決するのが難しくなるので、念のため口頭だけでなく書面に残しておくことをおすすめします。また、解体作業中には内壁など防水仕様になっていない部分が露呈しますので、雨水で傷んでしまわないように雨養生をするなど、切り離し作業と並行して隣接住戸の養生も行わなければなりません。解体工事は大がかりな工事ですので、一戸建ての場合でも隣人トラブルが発生する可能性があります。隣と連結した一つの建物である長屋は、より一層気をつけて進める必要があるでしょう。なかには裁判まで発展するケースもありますので、隣人の方にも安心していただけるように施主の方・解体業者ともに丁寧な対応を心がけることが大切です。
切り離しに時間・コストがかかる
長屋などの連棟住宅の切り離しは、敷地内の建物をすべて解体するよりも、技術を要する工事となります。また、繋がっている隣家に影響がないように極めて慎重に進める必要がありますので、一般住宅に比べ費用が割高になることを理解しておきましょう。切り離し作業では、残すべき部位と切断してよい部位の見極めが大切になりますので、切り離し解体の施工実績が豊富な業者に依頼することも重要なポイントです。長屋の切り離し解体の経験がない業者だと、さらに費用が高く、工期も長期化する可能性があります。業者選びに失敗しないためにも、必ず相見積りを取って比較・検討することをおすすめします。
切り離し解体した土地に再建築ができない
長屋を切り離して建て替える場合は、新築する建物が建築基準法の基準を満たしていないと建築許可がおりません。また、残った側(解体しない側)の家屋も同様に建築基準法の基準を満たす必要があります。さらに、老朽化が進み倒壊の恐れがある長屋の場合は、そもそも切り離し解体ができない場合もあります。くわえて、建築基準法改正前に建てられた古い長屋を建て替える際は、セットバックが必要となるケースが多くあります。セットバックとは、建物を建てるときに土地を後退させて建築することをいいます。家を建てる土地には接道義務があり、4m幅以上の道路に2m以上接していなければなりません。古くからある家屋はこれを満たしていないことが多く、建て直す際に現状より後退して建てる必要が出てきます。後退する部分は当然家を建てることができないので、希望よりも小さな敷地となってしまうことも考えられます。長屋を切り離して売却や建て替えをお考えの方は、まずは不動産業者に相談してみることをおすすめします。場合によっては不動産業者に長屋ごと売却するというのも方法の一つかもしれません。
長屋の解体費用が安くなる補助金・助成金
解体工事に関する助成金は、さまざまな自治体で設置されていますが、一般的に個人住宅向けの助成金は一戸建てを対象にしていることが多いので、複数軒連なっている長屋のうちの1軒のみを切り離す工事というのは、該当しない場合が多いようです。もしかしたら、長屋の切り離し解体に適応する制度もあるかもしれませんので、まずは当該自治体に助成金の有無を確認してみることをおすすめします。長屋一棟を丸ごと解体する場合や、耐震改修・リフォームなどは下記の助成金などがあります。受付期間や届出などは、着工前に確認しておくようにしましょう。このほか、空き家売却の際にかかる税金を優遇する制度(「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」)もあります。こちらは所定の要件を満たすことで譲渡所得税の優遇を受けることができます。
助成金・補助金制度の例
- 老朽建築物の建替え等の不燃化特区補助制度(東京都中野区)※限度額は条件により異なる
- 空き家に対する解体助成制度(神奈川県横須賀市)※最大35万円まで
- 耐震補強等助成事業(埼玉県さいたま市)※最大6万6千円まで
- 木造住宅リフォーム補助制度(千葉県君津市)※最大50万円まで
長屋以外の解体工事も対応する優伸
総合解体業を手がける当社は、長屋以外にも、平屋・二階建て・長屋・アパート・ビル・工場・倉庫や、老朽化した古家・空き家など、さまざまな構造・規模・状態の解体工事を承っております。建物の解体工事はもちろん、オフィスや店舗の内装解体(原状回復・スケルトン解体)、外壁やアスファルト舗装・土間コンクリート解体のほか、地中埋設物(浄化槽・井戸・土管・基礎杭など)の撤去や、外構工事(車庫やカーポート・土蔵・トタン小屋・門扉・屋根・ブロック塀・擁壁・フェンス・生け垣・土留め・庭石・樹木の撤去)、お庭の整地、家財など不用品の処分まで幅広く手がけています。解体工事をご依頼いただきましたら、まず事前調査を実施し、正確に見積に反映いたします。建物解体は、重機をともなう大掛かりな工事となりますので、着工前には近隣の方へ挨拶まわりを行い、施工中は影響が最小限となるよう振動や粉塵飛散予防の養生と適切位置での足場組み、さらに必要に応じてガードマンを配置するなど安全管理を徹底しています。なお、建物を解体し更地(整地)にするためだけでなく、お家の建て替えやリフォーム、リノベーション、店舗の原状回復工事でも私たちがお力になります。既存家屋の取り壊しや内装解体は、私たちのような解体専門業者に分離発注いただくと中間マージンが発生しないので、ハウスメーカーやリフォーム業者に一括で依頼するより費用を抑えることが可能です。そのほか、アスベスト(石綿)除去工事も豊富な施工経験があり、十分な飛散対策を行い安全に処理しています。解体工事で生じる廃材は、2002年制定の「建設リサイクル法」や、発行するマニフェスト(産業廃棄物管理票)に基づき適正な運搬処分をしております。解体完了後には、建物滅失登記が必要になりますので「解体証明書(建物滅失証明書)」の発行やお手続きでご不明な点は、当社がサポートいたします。一括見積サービスとの合い見積もりでもお引き受けしますので、解体工事をご検討の際は、ぜひ当社に無料の見積もりをご依頼ください。