アスベスト解体費用の補助金について

環境に関する設備設置の補助金・助成金制度

肺線維症(じん肺:石綿肺とも)や悪性中皮腫、肺がんなどの健康被害を引き起こす恐れがあることからアスベスト含有建材(アスベストを0.1重量%を超えて含有するもの)は、労働安全衛生法施行令に基づき2006年9月から製造・使用が全面的に禁止されています。しかし、かつては耐火被覆などとして吹き付けアスベストが広く使用されたほか、 屋根材や壁材、天井材としてアスベスト含有のスレートボードなどが流通したため、いまなおアスベスト建材を使った家屋(空き家を含む)は国内に無数に存在します。一般家屋のみならず、アスベストは耐火被覆材としてビルや鉄骨の建物などにもひんぱんに使用されました。アスベストは放置しておくと、その繊維や粉じんが空中に飛散するおそれがあり、人体に悪影響を及ぼしかねません。そこで多くの地方公共団体では、アスベストを使用した建物の解体費用の一部を補助するなどして、健康被害を最小限にとどめようとしています。ここではアスベスト含有住宅の解体費用にかかる補助金制度について詳しくご案内します。

アスベストの種類と特徴

アスベストとは、天然に産する繊維状の結晶鉱物の総称です。法律上は「石綿(いしわた)」と呼ばれます。アスベストは大きく分けてクリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アクチノライト、アンソフィライト、トレモライトの6種類があります。国内で使用された石綿の9割以上はクリソタイルで、残りはクロシドライトとアモサイトとなっています。これらのアスベストは耐火・断熱・防音を目的とした建材、たとえば吹付け材、屋根材、内外装材などに使用されてきた経緯があります。現在は製造、流通が全面的に禁止されているアスベストですが、規制の契機となったのは1975年の「特定化学物質等障害予防規則の改正」です。同規則の改正により、石綿含有率が重量の5%を超える場合、吹き付け作業が禁止され、その後、段階的に規制が強化されました。したがって1975年以前に建てられた住宅や建物には、石綿含有率が重量の5%を超える建物もあり、よりいっそうの対応が求められています。

アスベスト解体費用の相場

国土交通省は、アスベスト解体費用の相場(下表)を公表しています。

処理面積 除去費用
300㎡以下 2.0万円/㎡ ~ 8.5万円/㎡
300㎡~1,000㎡ 1.5万円/㎡ ~ 4.5万円/㎡
1,000㎡以上 1.0万円/㎡ ~ 3.0万円/㎡

国土交通省「アスベスト対策Q&A」より

国交省によると、アスベスト処理面積が300㎡以下の場合、除去費用は2万円/㎡ ~ 8.5万円/㎡、同じく処理面積300㎡~1,000㎡の場合、除去費用は1.5万円/㎡ ~ 4.5万円/㎡、処理面積1,000㎡以上の場合、除去費用は1万円/㎡ ~ 3万円/㎡となっています。この金額は、国交省が2007年1月から2007年12月における施工実績データに基づいて算出した除去単価で、アスベスト含有吹付け材の除去費用に限ったものです。処理面積が同じでも費用に開きがあるのは、部屋の形状や天井高、工事着工前準備作業、仮設(仮設足場など)、養生などの規模や範囲が異なるのに加えて、アスベストが含まれている場所、たとえば屋根瓦や外壁などによって作業の対策レベルが変わるためです。当然、作業の難易度が高くなればなるほど、解体費用も高くなる傾向があります。また、業者が異なればマージンも変動しますので、解体費用には価格差が生じます。ちなみにアスベストは発じん性に合わせてレベルが設定されています。発じん性レベル1の建材は、石綿を1重量%以上含有する吹付け材(石綿含有吹付け材)です。耐火建築物の柱や立体駐車場、機械室の天井や壁、エレベーター周りなどに使われています。最もアスベスト濃度が高く飛散性も高い分、慎重な作業が要求されるため、除去費用も高く、1㎡あたり1.5万円~8.5万円が目安とされます。発じん性レベル2はアスベスト含有保温材、結露防止剤、断熱材、耐火被覆材などに加え、ビルや工場のボイラー、配管、空調ダクト、化学プラント、焼却炉などが該当します。レベル2の解体費用は、1㎡あたり1.0万円~6.0万円が目安とされます。発じん性レベル3は、天井、壁、床に使用された成形板、工場や倉庫、体育館などに使用されたアスベスト含有スレート板といった建材が使用されている場合に該当します。アスベストレベル3の解体費用は、30坪2階建て木造家屋の場合、屋根材にアスベストが使用されていれば約20万円、外壁にアスベストが使用されていれば約30万円~40万円が目安です。このように同じ木造二階建ての建物でもアスベストが使用されている部分が違えば価格が変動します。詳しい内容や見積りは近所の建設業者や除去業者にご相談ください。

アスベスト解体で使える補助金の種類

アスベスト解体で使える補助金の種類は大きく分けて「アスベスト有無の調査」と「アスベストの除去、囲い込み、封じ込め」の2つがあります。「アスベスト有無の調査」は解体する建物にアスベストが使用されているか否かを調査するのに要した費用の補助金です。一方、「アスベストの除去、囲い込み、封じ込め」は文字通り、アスベストを除去か囲い込み、あるいは封じ込めのいずれかの工法で施工した場合に要した費用の補助金となります。それぞれの補助金の詳しい内容や限度額がいくらぐらいかをご案内します。

アスベスト有無の調査

「所有する建物にアスベストが使用されているかどうかを調査してほしい」。こうしたニーズに応えるため、国では民間建築物を対象としたアスベスト調査にかかる費用の補助金制度を創設しています。同事業に基づき、地方公共団体経由で補助金が支給される仕組みになっていますが、地方公共団体の中にはアスベスト調査を専門とする業者が工事現場に出向くところから補助金の対象としている団体もある一方、補助金事業そのものを行っていない団体もありますので、詳しくはお住まいの地方公共団体の担当窓口にお問い合わせください。補助金の支給対象となるアスベスト調査の内容について、国交省では「建築物の吹付け材について行うアスベスト含有の有無に係わる調査」とし、対象建築物は「吹付けアスベスト等が施工されている恐れのある建築物」、対象とする費用内容は「対象建築物の所有者等が行う、吹付け材のアスベスト含有調査に要する費用」、補助額の限度額は「原則として25万円/棟(民間事業者等が実施する場合は地方公共団体を経由)」としています。なお、アスベストの事前調査は、設計図書などによる図面、書面調査と目視確認による調査の両方を実施することが義務づけられています。書面調査と目視確認現地調査で石綿含有の有無が明らかにならなかった場合は、「分析による調査」または「石綿有りとみなす」のどちらかでアスベスト含有の有無を判別します。また、現地目視調査で確認してもよくわからない場合には、サンプルを採取し分析検査を行うことになりますが、分析方法には、「定性分析」と「定量分析」の2種類があります。なお、石綿含有建材の有無にかかわらず、一定規模以上の解体、改修工事をともなう事前調査結果は都道府県知事などへの報告措置が求められます。また、厚生労働省では事前調査の際、「元請業者の責務」として、事前調査の結果記録を作成して3年間保存するとともに、作業場所に備え付け、概要を労働者に見やすい箇所に掲示する必要があると指導しています。国土交通省によると、アスベスト含有調査で補助対象(限度額:原則25万円/棟)としているのは、吹付け材のうち、アスベスト含有の恐れがあるものです。具体的には、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライトなどが相当します。なおロックウールとは岩綿(がんめん)とも呼ばれ、玄武岩、鉄炉スラグなどに石灰などを混合し、高温で溶解、生成した人造鉱物繊維です。アスベストと混同されがちですが、アスベストは天然の鉱物繊維で繊維径が0.1μmと極めて細いため、呼吸器に入り肺がんや中皮腫を引き起こすリスクがあるのに対し、ロックウールは人造の鉱物繊維で繊維径は3〜5μmとアスベストより大きいため、呼吸器に吸引されるリスクは低いといえます。原料が溶けた状態の温度が高いため、ロックウール自体も熱や火への耐性が強いという特長があります。耐火性に優れるロックウールは建物の断熱材や培地、吸音材などに広く使用されています。

アスベストの除去、囲い込み、封じ込め

アスベストの飛散を防ぐための施工方法としては大きくわけて除去、囲い込み(「カバーリング工法」とも)、封じ込め(「エンカプスレーション工法」とも)の3工法があります。アスベストを飛散させてしまうと、作業者はもとより近隣環境に悪影響を及ぼす危険性があることから、その除去や囲い込み、封じ込め作業には専門的な技術が求められます。また、現場作業は、国家資格である石綿作業主任者の監督・指揮に基づいて行われます。作業の際は人体に害のない無機系の薬剤を使用して、当該箇所を湿潤化させたり、作業環境測定法に基づく作業場所の完全隔離、保護衣・防塵めがね・高性能防塵マスクの着用、廃棄物、廃材等の二重袋詰め、養生シートを建てる、アスベスト粉塵飛散抑制剤を散布するなど厳重なばく露防止対策が求められます。周辺住民の皆様に工事の周知を図ることも重要です。なお、アスベスト粉塵飛散抑制剤は封じ込め剤とも呼ばれます。除去は文字通り、アスベストが使用されている建築材すべてを除去し、非アスベストの建築材と入れ替える工法です。囲い込みと封じ込めはアスベストを撤去こそしませんが、繊維や粉じんを飛散させないように封じ込める工法です。ちなみに囲い込みは、アスベストが露出している部分に板状の材料などを取り付けてアスベストを完全に密封し粉塵飛散を防ぎます。封じ込めは建物内に存在するアスベストに溶剤を吹き付けることで、アスベストの粉塵飛散を封じ込める工法です。除去は将来にわたってアスベストが飛散しないため安心できますが、工事の際には厳格な安全管理の下で作業を行う必要があり、囲い込みと封じ込みに比べて費用が高い傾向があります。囲い込みと封じ込めは、除去に比べ工事期間を短縮できるため費用は安価かつ作業時の安全管理が容易です。しかし、アスベストを取り除くわけではないため、作業後の定期的な点検が必要になります。国では民間建築物に対するアスベスト除去、または囲い込み、封じ込めに関する補助制度を創設しています。補助率は費用の総額の 2/3以内(ただし地方公共団体の補助額を超えない範囲)となっています。アスベスト調査と同様、詳しい内容はお住まいの地方公共団体の担当部局におたずねください。なおアスベストを含む建築建材は「特定建築材料」に相当し、この材料が使用されている建築物や工作物の解体、改造、補修を行う作業を「特定粉じん排出等作業」と呼びます。「特定粉じん排出等作業」を行うには、大気汚染防止法に基づき、事前調査や作業基準遵守などの規制を遵守した上、発注者は当該作業場を所轄する労働基準監督署長に対して届出する必要があります。あわせて厚生労働省では石綿(アスベスト)が含まれている保温材などの除去工事の計画は、14日前までに労働基準監督署長に届け出ることを義務付けています。国土交通省がアスベスト除去等で補助対象としているのは、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールです。したがって対象建築物は、吹付けアスベストなどが施工されている建築物となります。詳しくはお住まいの地方公共団体の担当部局におたずねください。また、アスベストの除去工法などの専門的な技術については一般財団法人日本建築センターのホームページでも詳しく紹介されていますので、ご参照ください。

一般財団法人日本建築センター

地方公共団体におけるアスベスト解体費用の補助金制度の具体例

地方公共団体におけるアスベスト解体費用の補助金制度の具体例をご紹介します。ここでは埼玉県さいたま市、愛知県岡崎市を例に補助金制度の概要や補助額などをご案内します。制度の詳しい内容や要件などはそれぞれの自治体のホームページなどをご確認ください。

埼玉県さいたま市

埼玉県さいたま市では、「民間建築物吹付けアスベスト除去等事業」との事業名で補助金を交付しています。対象となる吹付け材の具体例は、吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けひる石、吹付けパーライトなどです。なお、外壁塗装材は補助対象外となっています。補助額(補助対象建築物1棟につき)は分析調査事業の場合、補助対象経費以内の額(25万円を限度)、除去等事業の場合、補助対象経費の3分の2以内の額(600万円を限度)としています。詳しくはさいたま市のホームページなどをご確認ください。

埼玉県さいたま市 民間建築物吹付けアスベスト除去等事業補助金交付について

愛知県岡崎市

愛知県岡崎市では建物の吹付けアスベストの含有調査や除去等の補助制度を創設しています。補助の内容はアスベスト分析調査に要する費用の場合、「対象費用の全額かつ上限25万円」、アスベスト除去等に要する費用の場合、「対象費用の3分の2以内かつ上限180万円」となっています。同市では「アスベスト分析調査」について「アスベスト(石綿)が施工されている可能性のある吹付け材(仕上塗材を含まない)の含有分析調査で、建築物石綿含有建材調査者による調査に基づき実施されるもの」、「アスベスト除去等」については「アスベスト(石綿)が施工されている吹付け材(仕上塗材を含まない)の除去及び封じ込めで、建築物石綿含有建材調査者が策定した事業計画に基づき実施されるもの」と定めています。詳しくは同市ホームページなどをご確認ください。

愛知県岡崎市 建物の吹付けアスベストの含有調査や除去等の補助制度

アスベスト解体補助金制度の申請手続き

お住まいの地方自治体がアスベスト建物解体の補助金事業を行っている場合、対象要件を満たせば補助金が支給されます。まずは補助金制度の有無をお確かめください。当該自治体が補助金事業を行っている場合は、所定の様式に必要事項をご記入し、担当部署にご提出ください。その際、補助対象範囲などの確認のために住宅の配置図、平面図、現況写真を持参することで、手続きがスムーズになることがあります。審査を通過し、調査と工事の完了報告が受理されると現地確認などの完了検査が行われます。その後、お手元に届く補助金額の確定通知に基づき、請求書の提出をして交付を受けることになります。アスベスト解体工事後に申請手続きをしても補助金は支給されませんので注意が必要です。詳細な手続きの方法や対象要件等については地方自治体の担当部署にご確認ください。また電気やガスがつながった状態での解体工事は大変危険ですので、工事前には引き込み(引っ込み)配管や配線の撤去を専門業者に依頼しましょう。

アスベスト含有建材が使用されている主な建物部分

アスベスト含有建材が使用されている主な建物部分としては、梁や柱の耐火被覆材、内壁の結露防止材、天井材、外壁材、屋根用断熱材、配管、ダクトの保温材などがあります。これらのどこか一部にアスベスト含有建材が使用されているケースであれば、その除去費用は高額にならずにすみますが、建物の至る所にアスベスト含有建材が使用されている場合は除去費用がかさむ可能性があります。その際は、助成金制度を有効活用すれば自己負担額を減額出来ますので、除去工事前にぜひお住まいの地方公共団体にお問い合わせください。

アスベスト解体は優伸コーポレーションにお任せください

優伸コーポレーションはアスベスト含有建材が使用された建物解体工事でも豊富な実績があります。当社は厚生労働省が定める石綿障害予防規則等を遵守しつつ、石綿作業主任者の監督、指揮のもと適切にアスベスト処理を行います。また、アスベスト補助金制度の申請手続きや労働基準監督署への届出などもきめ細かくサポートしますので、お気軽にお申し付けください。また、アスベストが含まれた廃棄物や廃材には特別な運搬方法や処理方法が定められていますが、かつて廃棄物の材質を改ざんして不法投棄を行い施主が罰せられた処分事例もあります。当社は最終廃棄処理まで責任をもって、処理しますのでご安心ください。当社はアスベスト住宅以外にも、坪数に関係なく様々な建物、施設の建て替え解体工事を幅広く承ります。木造はもとより、鉄骨造、鉄筋コンクリート造にも幅広く対応します。二階建て以上の解体工事実績も豊富です。個人住宅だけでなく、アパート、マンション、宿舎、社宅などの集合住宅もお任せ下さい。商業施設やコンビニエンスストア、飲食店、小売店、さらには銭湯やその煙突、鉄塔といった特殊な形状の解体工事も承ります。地中埋設物の浄化槽の撤去や地下室の解体なども対応可能です。古家、納屋、倉庫、野積倉庫を含むプレハブ倉庫、上屋、長屋、別棟、地下室、小屋、物置、浄化槽、井戸、土蔵、土間の解体に加え、スケルトン解体と呼ばれる躯体や骨組みだけを残す工事もお任せください。当社は新築、中古物件を問いません。また売却物件、借地・仲介物件、買取物件、仮設住宅などの解体工事にも幅広く対応致します。建物本体以外の部分付帯工事、たとえば囲いや犬走り、ウッドデッキ、サンルームなどの解体もお任せください。車庫、カーポート、ガレージ、カスケードガレージなどの駐車場周りのほかにも梁解体や柱の切離し・分離工事、床の張替、屋根の葺き替え、スレート解体、天井・不用品撤去なども承ります。舗装されたアスファルトの斫り、タイルを剥がす工事などのほかにも、敷地内の土地や区画の庭石の移動、木々の伐採も承ります。解体工事に工事にともなう固定資産税や都市計画税の納税額の変更や相続税などについてもご相談に乗ります。まずは当社の見積もり(合い見積りもOK)をご利用下さい。もちろん見積もりは無料ですのでお気軽にご依頼ください。

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